越谷のおせんべい

越谷には「越谷せんべい」という名物があります。江戸時代から越谷の農家では一般的に「焼き米」と呼ばれるものを作っていて、それが越谷せんべいのルーツだといわれています。その後、地元の越谷米など良質な原料を用いるようになり、茶店で売るために改良されていきました。越谷せんべいの特徴は、一度せいろで蒸しあげていること、生地を天日干していること、米やしょう油は良質なものを使用していること、炭火で一枚一枚手焼きしていることなどが挙げられます。特に最後の炭火で手焼きしているという部分は、越谷せんべいの特徴であると同時に、基本でもあります。こうした基本を忠実に守っているお店はどんどん減っていますが、やはり基本を守り続けている越谷せんべいは、味や食感がまったく違います。

 

またしょう油を塗るタイミングにも、おいしさの秘密が隠されています。せんべいを焼き終え、少し冷めてからの方が、しょう油を塗る量は少なくて済みます。しかし越谷せんべいの多くは、焼きたての熱いうちにしょう油を塗ります。こうすることで中までしょう油がしみわたり、しょう油の風味をより強く感じるせんべいになるのです。

 

せんべいを焼く時に欠かせない、押瓦も大切です。これを使い、上からおさえることで熱が全体にまわってパリッとした食感につながります。越谷せんべいは、職人ひとりひとりのこだわりが、江戸時代から現代へとしっかり受け継がれていることを実感できる、越谷の名物なのです。